k_ikiの雑記帳

DTPのこと、創作のことなど、思いつくまま

Illustratorの裁ち落とし

先日来少しずつ調べてみたものの、どうやらIllustratorではInDesignのようにJavascriptで裁ち落としを変更することができないようだ。
同様に、透明の分割・統合プリセットの変更も。
 
アプリ上においては「ドキュメント設定」のダイアログからアクセスできるのだが(下図)
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CS6用のIllustrator-Scripting-Reference-JavaScriptを検索した限り、裁ち落としの変更、透明のプリセットなどを変更するためのクラスが見当たらない。
Twitter等でいつもお世話になっているDTPerからご意見をいただいたものの、ArtboardごとにbleedBoxプロパティを持っているわけでもなかった。
 
毎回同じ設定にしたければ、ファイルを作成するたびにドキュメント設定ダイアログを開くなり、テンプレートを作っておくなりして、作成段階で気をつけて作業に入れ、ということだろうか。
保存の際にスクリプトで変更してしまおうとした目論見は、今のところ失敗と言わざるを得ない。

Illustratorのドキュメント設定

未解決。
Illustratorのドキュメントサイズは、
documentのcropBoxプロパティで変更可能だ。
だが、bleedOffsetRectというプロパティは、
PDFSaveOptionsやPrintPageMarksOptionsには含まれているものの、
documentにもIllustratorSaveOptionsにも含まれていない。
方法が無い、とはちょっと思えないので、もう少し調べてみる。

配置フレームの最小単位

表題の件、
MacOSX10.7.5 / InDesignIllustrator CS6
MacOSX10.6.8 / InDesignIllustrator CS4
にて確認。
 
以前から、表セルの最小単位が3pt(約1.058mm)であることは知られており、その制限はスクリプトで回避できる。
しかし、実は画像フレームを配置する際にも最小単位が存在したのだ。
 
まず、Illustratorで横幅の小さなアートボードサイズのイラストを作成。
具体的には、横幅0.65mm。
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次に、InDesignに貼り込む。
左:メディアサイズで貼り込み。
右:アートサイズで貼り込み。
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  • 同じ画像だけど大きさが違って見えるのは単に表示上の問題。高精細モードにするか、オーバープリントプレビューで表示すれば同じ大きさに見える。

 
メディアサイズで貼った方のフレームを確認すると……。
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横幅0.65mmに設定して保存したはずなのに、W:1.058mmとなっている。
なお、アートサイズで貼り込んだ方は、オブジェクトのサイズとフレームサイズが一致している。
よって、メディアサイズで貼り込む際の最小単位は3ptである。
 
作成したイラストのサイズと一致したスペースをドキュメント上に確保し、そのセンターに画像を配置したい場面は多々あると思われる。
しかし、あまり小さい画像の場合は、確保したスペースよりも大きなフレームをInDesign上に用意するか、アートサイズで貼り込むなどの手段を講じる必要がある。
 
 
ところで。
昨日のエントリ「Illustrator CS6 保存スクリプト」の件、本日も未解決のまま。

Illustrator CS6 保存スクリプト

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Illustratorをai形式で保存しようとすると、上記のオプションが表示される。

これを、毎回同じオプションで保存したい。

具体的には、「圧縮を使用」のみチェックを外したい。

var docObj = app.activeDocument;

var saveObj = Folder.selectDialog("保存先のフォルダを選択してください") ;

var saveObj = saveObj + "/" ; //区切りの記号を追加しておく

 

 //AI保存時のオプション設定

var aiOptions = new IllustratorSaveOptions; 

with (aiOptions) { 

    pdfCompatible = true ; //PDF互換ファイル:作成

    embedLinkedFiles = false ; //配置した画像:埋め込まない

    embedICCProfile = true ; //ICCプロファイル:埋め込む

    compressed = false ; //圧縮を使用:しない

}

 

var aiName = prompt ("ファイル名を入力(拡張子不要)", "filename");

var saveFile = new File(saveObj + aiName + ".ai");

docObj.saveAs(saveFile, aiOptions);

app.activeDocument.close() ;

これで良さそうな気がするのだが、保存されたファイルを確認すると、PDF互換ファイルを作成のチェックがON、圧縮を使用がOFF。

それは思惑通りなのだが、ICCプロファイルがOFFになってしまっている。

調査中。

なお、同時にドキュメント設定のオプションも操作したいと思っている。

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具体的には、裁ち落としを0mmに、透明の分割・統合プリセットは自分で作成したプリセットに。

PDFSaveOptionsプロパティにはflattenerPresetがあるのに、IllustratorSaveOptionsにはそれがない。

裁ち落としと同じように、ドキュメント設定のプロパティがあって、そこからアクセスするのか?

ちょろっと調べた程度ではよくわからなかった。

後日に続く……予定。

インキ

インキって、陰気だなぁ。

いくら印刷が斜陽産業だからって。

自虐ネタはさておき。

 

従来、筆記用の彩色剤をインク、印刷用の彩色剤をインキ、と呼び分けてきた。

近年におけるインクジェットプリンターの台頭で、この分類が曖昧になりつつあるけれども、無理に分類するならば筆記用と印刷用の中間がインクジェットと言えるのかも。

現状におけるインクジェットプリンターの役割は校正用、もしくはTシャツやCDラベルなどの特殊印刷用であることが多い。コストがかかりすぎるので、インクジェットで大部数のものを刷ることはあまりない。

なんとなく棲み分けができているためか、印刷業界においてもインクジェットプリンターの彩色剤をインクと呼ぶ。それに対し、オフセット印刷機(輪転機含む)用の彩色剤のことは今でもインキと呼ぶことが多い。

 

インクジェットとオフセット、それぞれインクとインキと呼び分けるのはいいとして、その違いはどこにあるのか。

 

インクジェットのインクは紙に浸透して定着する。

最近のインクジェットは最小単位が何ピコリットルだとか、インクを粒子状にして紙に噴き付けることができる。

しかし、液体であるインクが紙に浸透する仕組みである以上、必ず滲む。

従って、インクジェットのカタログスペックである「解像度○○○○dpi」というのがそのまま仕上がりのきれいさと直結しているとは言い切れないのだ。

特に、インクの発色性・速乾性を考慮したコート紙ではなく、インクジェット非対応の普通紙の場合、せっかくの○ピコリットルもかなり滲んでしまう。もちろん、もともと細かいので滲んでも最終的には満足できる品質で刷り上がる、と言えるのだろうけれども。

また、表現したい色によっては大きく沈む。色によっては転ぶ。

(「沈む」というのは言葉のイメージ通り、暗く濁った感じになること。「転ぶ」というのは色合いが変わってしまうこと)

そうは言っても、技術の進化を続けているインクジェットにおける発色の鮮やかさは侮れないものがある。

 

それに対し、オフセット印刷のインキは、版からブランケット、ブランケットから紙へと転写し、圧力をかけて紙の表面に盛りつけるのだ。

しかし、やはりオフセットにおいても色が沈む。その原因は単純ではないが、先日のエントリ「ドットゲイン」も大きな理由の一つである。

オフセットの真骨頂は部数の多い印刷物を刷ることにある。何部以上の印刷物を多ロットと呼ぶべきかは場合によるので曖昧な言い方になるが、たくさん刷るほど1部あたりのコストを抑えられる。

逆に、小ロット印刷には不向きだ。一日に何種類もの印刷物を刷るためには、版を替え、紙を替え、場合によっては特色インキを使うためにローラーを洗うなどのメンテナンスも必要だ。

そのため印刷予定を組むのが大変で、飛び込みに対応しづらいという側面も否定できない。

刷るためには版が必要なので、小ロットであるほど割高になってしまう。

欠点ばかり論ってしまったが、オフセットの表現力が今でも高品質なのは変わらない。

 

ところで、少部数印刷であればオンデマンド印刷機(現状、トナー式のものが多い)を使うという選択肢もある。実際、印刷会社以外の一般企業にも普及しつつある。

オンデマンド機の主流であるトナー式は乾かす必要がないので、すぐ欲しいという需要に対応しやすい。難点は、グラデーションやベタ塗りの表現がインキ(インク)と比べて苦手なので、表現力はどうしてもインクジェットやオフセットに劣る。

 

新しい動きとしては、近年、あるメーカーから「オフセットを超えるインクジェット」が販売された。少部数に特化した上、オンデマンドの表現力どころかオフセットさえ上回るプリンタ。

しかし、あまり売れているという噂を聞かない。まあ当然かも、オフセット機が二台ほど買えそうな値段だし。

 

印刷会社が印刷で利益を上げる時代は終焉を迎えつつある。

すでに終焉を迎えたと断言する人もいることだろう。

それは事実だと言わざるを得ない。

しかし、紙メディアへの印刷は今後もそう簡単には無くならない。

プロとして、最後までインキの表現力を最大限に生かす仕事を続けたいものだ。

 

 

と、半ば本気、半ば建前の締めくくりをしておいて……

……さーて、WEBや電子出版の勉強しようっと(すでに出遅れ感パネェ)

検索・置換系のスクリプト

バージョンごとにInDesignJavascriptの仕様が変わっていくのは周知の事実。

特に、CS2以前とCS3以降とで検索・置換関係のスクリプトの仕様が大きく変わっている。

CS3以降から正規表現検索・置換が実装されたことがその理由だ。

CS2までは、

findPreferencesプロパティにて検索文字列を設定し、

changePreferencesプロパティにて置換文字列を設定。

その上でsearchメソッドにて検索・置換を実行すればテキスト置換することができた。

 

ところが、CS3以降においては正規表現検索・置換が増えたことによりプロパティの名称変更と追加が行われた。

具体的には、 

テキスト検索はfindTextPreferences、置換はchangeTextPreferences

正規表現検索はfindGrepPreferences、置換はchangeGrepPreferencesなど。

他にも字形、文字種、オブジェクトの検索・置換それぞれプロパティが追加された。

 

これらに対応し、テキスト検索実行のメソッドはfindText、置換実行のメソッドはchangeText

正規表現検索実行のメソッドはfindGrep、置換実行のメソッドはchangeGrepという変更がなされている。

※流星さんのご指摘を受け、検索実行と置換実行メソッドが別々であることを明記いたしました。

 

これだけわかれば、以前のエントリで紹介したバイカモさんのスクリプト、

ルビ分割修正について、CS3以降用に編集し直すことが可能だ。

そんなわけで、晴れて同スクリプトをVersion 4.0 Scriptsから一階層上に移動し、現在(CS6)も便利に使わせていただいている。

バイカモさん、いつもありがとうございます。

ドットゲイン

ドットゲインとは中間調において色の差が発生する現象を指す。オフセット印刷においては不可避の現象。

データ上50%であるはずの網点をオフセット印刷機にかけると、仕上がり印刷物はそれより濃い色で発色される。

従って、オフセット印刷が前提の場合、これを見越したデータの作り方をすることが望ましい。

 

原因1:物理的ドットゲイン

インキを紙に転写する際、ブランケット胴と圧胴に挟まれた紙に圧力をかけるのだが、この時点で網点が若干潰れ、実際の大きさより大きめの網点となってしまう。

ただし、これについてはあまり目くじらを立てるほどではないらしい。

 

原因2:光学的ドットゲイン

一般にドットゲインと言えばこちらを指すことが多い。

紙の質により光の反射率が違う。

コート紙のように発色がよくなるよう塗膜をコーティングされた紙は反射率がよく、ドットゲインが抑えられる。

新聞紙のように粗い紙は反射率が悪く、ドットゲインが大きくなる。

また、網点が小さく密集している場合もドットゲインが大きくなり、新聞印刷における線数が100線程度と低めなのはこれが理由である。

 

 

参考: